日本外傷学会脾損傷分類

I型II型III型IV型解説と記載法


I型 被膜下損傷 Subcapsular injury

II型 被膜損傷 Capsular injury

  

III型 実質損傷 Parenchymal injury

 a.単純型 Simple type  
 b.離断型 Transection  
 c.複雑型 Complex type 
 d.粉砕型 Fragmentation

IV型 脾門部血管損傷 Hilar vessel injury
Appendix:脾損傷に合併した脾門部血管損傷の表現,脾門部血管損傷(HV)


脾損傷分類の解説と記載法について

1.形態分頬の説明

I型(被膜下損傷)とは
脾被膜の連続性が保たれている損傷をいう.これには脾被膜下血腫(subcapsular hematoma)および脾内血腫(intrasplenic hematoma)が含まれる.後者は術中,肉眼的に観察することは困難であるが,脾損傷患者の経過中,画像診断学上みられることがあるものをいう.
II型(被膜損傷)とは
被膜損傷のみか,僅かの実質損傷を伴うものをいう.主な損傷は被膜の損傷である.実質損傷の深さは2〜3mm位のもので,現在の画像診断学では診断困難な程度の損傷をいう.
III型(実質損傷):
IIIa.(単純型)とは創縁,創の走行などが単純で,組織挫滅がないか少ないものをいう.
IIIb.(離断型)とは脾臓が完全に離断しているか,これに近いものをいう.
IIIc.(複雑型)とは創縁,創の走行などが複雑で,組織挫滅を伴うことがあるものをいう.
IIId.(粉砕型)とは三つ以上の脾片に分断されているものをいう.

  深さと損傷形態の複雑性の移行については以下のように考えるとよい.
II型(被膜損傷)→ III型 (実質損傷)
IIIa(単純型) → IIIb(離断型)*
IIIa(単純型) → IIIc(複雑型)*
IIIc(複雑型) → IIId(粉砕型)
IV型(脾門部血管損傷)とは
脾動・静脈本幹から脾実質に入るまでの血管のみの損傷を
いう.脾損傷に脾門部血管損傷を伴う場合はappendixに記載した略語を附記する.
〔* 画面に表記する関係で、内容には変わりはありませんが、原典とは表記方法が若干異なります。〕


2.記載方法

損傷形態が二つ以上存在する場合は,より重症な損傷のみを記載する.重症度の順序はIII>II>Iと考える.脾実質損傷に脾門部血管を合併した場合は以下のように記載する.(例)創縁,創の走行が単純で,比較的浅い脾の実質損傷が脾門部におよぴ脾門部血管から活動性の出血がみられるような場合は,・a+HVのごとく記載する.


引用のお知らせ

本分類を引用する場合は、原典を
日本外傷学会脾損傷分類委員会:日本外傷学会脾損傷分類。日外傷会誌1997; 11: 30
として下さい。