日本外傷学会肝損傷分類
I型 被膜下損傷 Subcapsular injury
a.被膜下血腫 Subcapsular hematoma

b.中心性破裂 Central rupture

II型 表在性損傷 Superficial injury

III型 深在性損傷 Deep injury
a.単純型 Simple type

b.複雑型 Complex type

Appendix:肝損傷に合併した傍肝血管,肝門部胆管損傷の表現
肝後面下大静脈損傷(IVC),肝静脈損傷(HV),肝動脈損傷(HA),門脈損傷(P),胆管損傷(B)
肝損傷分類の解説と記載法について
1.形態分類の説明
I型(肝被膜下損傷)とは,
肝被膜の連続性が保たれている(腹腔内出血を伴わない)ものをいう.ただし,少量の腹腔内出血を認める場合でも,損傷の形態が肉眼的,画像診断的に被膜下血腫または中心性破裂と判断されるものはこれに含める.
II型(表在性損傷)とは,
深さ3cm以内の損傷をいう.
深さ3cmにした理由;3cm以内なら通常深部の太い血管および胆管損傷はない.縫合する場合,死腔を残さず縫合可能.海外の報告でも表在性を2〜3cmとしているものが多い.左外側区域の損傷では3cmでも貫通していることがあるのでその場合の・型(表在性)か・型(深在性)かの判定は術者の判断にゆだねる.
III型(深在性損傷)とは,
深さ3cm以上の深部に達している損傷をいう.
a)単純型;創縁や破裂面など損傷の形態がsimpleで,組織挫滅の少ないもの.組織の壊死は伴わない.
b)複雑型;創縁や破裂面など損傷の形態が複雑で,組織挫滅が広範におよぶもの. 組織の壊死を伴うものはここに入る.
2.記載方法
1)損傷の型と部位(区域)を記載する.
2)肝区域の表現と記載法(肝癌取り扱い規約に準ずる)
左葉外側区域は(L),左葉内側区域は(M),右葉前区域は(A),右葉後区域は(P),尾状葉は(C)と表現する.
これに亜区域を表したい場合は,Couinaudの肝区域表示法を付加してもよい.
損傷の範囲が2区域以上に及ぶときは,損傷範囲の広い方から(AM),(LM)のように表現する.
また,区域の境界部の損傷(カントリー線または外側区域と内側区域の間など)は(A-M,M-L)と記載する.
記載例:内側区域の表在性損傷は,II(M)
S7〜S8におよぶ深在性損傷単純型は,IIIa(AP)またはIIIa(A8P7)と記載する.
3)複数の損傷があるときは,高度の損傷から順次記載する.
例えば,IIIb(A)十IIIa(M)+II(L)
4)肝損傷に伴う血管,胆管損傷は分類のappendixに記載した略語を用いて付加する. 左右の表現は,肝癌取り扱い規約に準じその損傷の後に小文字でr(右)またはl(左)と記載する.
また,肝静脈のうち短肝静脈およぴ後下肝静脈は,s(短肝静脈),またはip(後下肝静脈)と記載する.
例えば,右葉両区域にまたがる深在性複雑型損傷に,右の肝静脈損傷を合併した場合は,IIIb(AP)十HVrと記載する.

5)鋭的損傷は頭にS(刺創の場合),GS(銃創の場合)と記載する.
たとえば,内側区域の刺創で深さ3cm以上の場合は,S・a(M)と記載する.
引用のお知らせ
本分類を引用する場合は、原典を
日本外傷学会肝損傷分類委員会:日本外傷学会肝損傷分類. 日外傷会誌1997; 11: 29.
として下さい。