日本外傷学会骨盤損傷分類

I型II型III型解説と記載法


I型 安定型骨盤損傷 Stable type injury
 a. 片側性 Unilateral
 b. 両側性 Bilateral
1b
Ib型安定型骨盤損傷
後方骨盤環の損傷を認めない
II型 不安定型骨盤損傷 Unstable type injury
 a. 片側性 Unilateral
 b. 両側性 Bilateral
2b
II型 不安定型骨盤損傷
単純X線像で明かな後方骨盤環の離開を認めず,
CT像で両側仙腸関節の離開幅が10mm以下
III型 重度不安定型骨盤損傷 Severe unstable type injury
 a. 片側性 Unilateral
 b. 両側性 Bilateral

3a

III 重度不安定型骨盤損傷
単純X線像で明かな後方骨盤環の離開を認める

 

Appendix 1:損傷側および部位を以下のごとく付記する.
 (bil.):両側,(r.):右,(l.):左
 (I):腸骨,(P):恥骨,(Is):坐骨,(S):仙骨,(SIj):仙腸関節,
 (SP):恥骨結合,(A):寛骨臼
Appendix 2:後腹膜血腫の程度を付記する.
 (H0):画像上,血腫を認めない  No hematoma
 (H1):血腫は小骨盤腔に限局する  Small hematoma
 (H2):血腫は小骨盤腔をこえる   Large hematoma
Appendix 3:以下の合併損傷を付記する.
 (O):開放損傷 Open injury
 (R):直腸損傷 Rectal injury
 (V):膣損傷 Vaginal injury
 (U):尿路損傷 Urinary tract injury
解説と記載方法について
1.骨盤損傷の定義
  骨盤損傷とは骨折,靱帯損傷,関節離開のすべてを含み,診断は単純X線像およびCT像による.
2.前方骨盤環と後方骨盤環の境界は,同側の上前腸骨棘と坐骨棘を結んだ線とする.
  両側性とは前方骨盤環の左右,あるいは後方骨盤環の左右に各々1カ所以上の骨折を認める場合と定義する.
  また仙骨骨折で骨折線が正中をこえる場合は両側性とする.
3.I型 安定型骨盤損傷 Stable type injury
  単純X線像およびCT像で骨盤環の連続性が,保たれている損傷,ないしは前方骨盤環に限局する損傷.
4.II型 不安定型骨盤損傷 Unstable type injury
  単純X線像で前方骨盤環の離開を認め,かつ明らかな後方骨盤環の離開を認めないもの.
  または,CT像で後方骨盤環の離開幅が10 mm未満のもの.
5.III型 重度不安定型骨盤損傷 Severe unstable type injury
  単純X線像で後方骨盤環の離開が明らかなもの.または,CT像で後方骨盤環の離開幅が10 mm以上のもの.
6.Appendix 1
  片側性(a),両側性(b)は前述のごとく定義するが,診断根拠となった損傷部位ごとに損傷側を併記して付記する.
7.Appendix 2
  (H1):CT上,岬角を含むスライスで血腫を認めない.
  (H2):CT上,岬角を含むスライスで明らかに血腫を認める.もしくは単純X線像で明らかに血腫を認める.
8.Appendix 3
  (U):尿路損傷は尿道,膀胱,尿管を含む.
   例:IIIb(bil.P,bil.Is,r.SIj)(H2)(U)


引用のお知らせ
本分類を引用する場合は、原典を
日本外傷学会骨盤損傷分類委員会:日本外傷学会骨盤損傷分類. 日外傷会誌1999; 13: 264-265. 
として下さい。