日本外傷学会腎損傷分類
I型 腎被膜下損傷 Subcapsular injury
a.挫傷 Contusion

b.被膜下血腫 Subcapsular hematoma

c.実質内血腫 Parenchymal hematoma

II型 腎表在性損傷 Superficial injury
表在性裂傷 Superficial laceration

III型 腎深在性損傷 Deep injury
a.深在性裂傷 Deep laceration

b.離断 Transection

c.粉砕 Fragmentation

IV型 腎茎部血管損傷 Pedicle injury
a.腎動脈閉塞 Renal artery occlusion 
b.茎部動静脈損傷 Avulsion or disruption of renal pedicle vasculature

Appendix 1:腎周辺への血腫の拡がりを付記する
(H1):腎周囲腔の血腫 Perirenal hematoma
(H2):傍腎腔の血腫 Pararenal hematoma
(H3):Contralateral pararenal type あるいは
central typeの血腫 Extended hematoma
Appendix 2:腎周辺への尿漏の拡がりを付記する
(U1):(H1)と同様の尿漏 Perirenal extravasated urine
(U2):(H2)と同様の尿漏 Pararenal extravasated urine
(U3):(H3)と同様の尿漏 Extended extravasated urine
腎損傷分類の解説と記載方法について
1.I型 腎被膜下損傷 Subcapsular injury
腎被膜の断裂を認めない損傷形態で,挫傷,被膜下血腫,実質内血腫を含む.そのうち挫傷は画像診断でとらえ難い場合が多いが,通常は臨床所見を加味して診断する.記載は・a,・b,・cとする.
2.II型 腎表在性損傷 Superficial injury
裂傷が Collecting systemへ達していない損傷(表在性裂傷)を指し,尿漏が認められない腎実質裂傷である.腎被膜の損傷を伴い腎周囲の血腫を合併することが多い。記載は・とする。
3.III型 腎深在性損傷 Deep injury
裂傷が Collecting systemに波及している損傷を言う.ほとんどの場合,尿漏がみられるが,画像診断で尿漏が認められなくてもCollecting systemに損傷が波及していると考えられるものや,術中所見で損傷が Collecting systemに達しているものも含める.深在性裂傷,離断,粉砕の3損傷形態に分ける.深在性裂傷は造影CTで腎の輪郭がほぼ全周にわたり描出される.離断,粉砕は損傷部周辺において腎の造影効果が認められず,腎の輪郭が消失し周囲の血腫との区別が困難なものをいう.また,離断は腎実質が完全に2分され腎実質の連続性が保たれていないもの,粉砕は腎実質が3箇以上に分離しているものをいう.離断,粉砕の区別は画像診断で困難なことがあるが,できれば術中所見を加味して判断する.深在性裂傷,離断,粉砕はそれぞれIIIa,III b,IIIcと記載する.
4.IV型 腎茎部血管損傷 Pedicle injury
腎動静脈起始部から腎実質に入るまでの血管損傷を指す.腎動脈閉塞(a)と茎部動静脈損傷(b)に分ける.腎動脈閉塞は主幹閉塞(Main)と区域枝閉塞(Segmental)を含み,各々(M),(S)とする,記載はIVa(M),IVbなどとする.
5.Appendix
1,2は腎周辺の血腫および尿漏の拡がりを表現したものでありII〜IV型の記載に続き付記する.(H1,U1)はそれぞれ血腫,尿漏が腎周囲腔(Perirenal space)にとどまるものでほとんどの例に保存的治療が,(H2,U2)は腎周囲腔を超え(Gerota筋膜を超えて)血腫,尿漏が進展しているもので手術適応が考慮される場合が多い.(H3,U3)はCentral typeあるいはContralateral pararenal typeの血腫,尿漏を指しほとんどの場合手術適応となる.II(H1),IIIa(H2,U2),IVb(H3)などと記載する.
6.その他
1)損傷側(左右)は右:(R)_, 左:(L)_を最初に記載する.
2)鋭的損傷では,刺創は(S),銃創は(GS)を最後に付記する.
3)重複した損傷が認められれば,重症度の高い順に記載する.重症度はIVbが最も高く,以下IVa,IIIc,IIIb,IIIa,II,Iの順とする.
4)腎の限局的な損傷部位たとえば上極の損傷などは原則として記載しない.また腎盂,腎杯の単独損傷は極めて稀であり通常の分類の範疇に入れないが,確認できればそれぞれ腎外腎盂損傷(P)(;Pelvic injury),尿管腎盂移行部損傷(UPJ)(;Injury of ureteropelvic junction)として記載する.
引用のお知らせ
本分類を引用する場合は、原典を
日本外傷学会腎損傷分類委員会:日本外傷学会腎損傷分類。日外傷会誌1997; 11: 32-33
として下さい。